


*森林面積:「林野庁(平成19年)」 |
日本の森林は人工林と天然林の2つに分けることができます。日本の森の約4割は人が手を入れてつくり上げてきた人工林です。たとえば、東京の多摩地区のスギ林や長野県のカラマツ林は人工林。
これに対して、天然林は、自然のチカラによって育ててきた森林のことを指します。白神山地や屋久島などが天然林の代表例です。森と洋服のプロジェクトは、日本の森を再生することを目的としており、特に人の手が必要な人工林を活性化していく活動を主にしています。
豊かな森の国日本ですが、何故か木材の8割は外国からの輸入に頼っているという不思議があります。これは、戦後、木材輸入の自由化によって、安価で一度に大量入手できる外国産材の輸入が増え、それに対応できなかった国産材の利用量は急激に減ってしまいました。昭和30年には木材の自給率が9割以上であったものが、今では2割まで落ち込んでいます。自分の国に豊富な資源があるのに、もしかしたら、海外で違法伐採された木を、石油をたくさん使って運んできて使っているかもしれないのです。
人工林は、人が手を入れ続けることで、はじめて活かされます。それが安い輸入外材に押されて需要が減ってしまったことで、現在、日本の森林は充分な手入れがなされず、荒廃が目立つようになりました。間伐や下草刈りなど、適切なお手入れをしてこそ森は元気になるのに、それさえもできない森が増えています。
また、人工林の多くは、戦後に植えられており、 植えてから30年から50年を経過し、収穫期を迎えていますが、放置されている森も多いのです。
本当は、収穫期を迎えた森林を伐採し、植えて、育てる、そして伐採するという循環が必要ですが、今はそれがうまくいっていません。そのため、森が荒廃し、土砂崩れの原因となったり、二酸化炭素の吸収力も弱ってしまっています。このサイクルを円滑に回すためには、国産材を積極的に利用し、需要を高め、資金を山に還元する必要があります。
日本の森を育むためには、私たちが日本の木を使うことが必要なのです。


元気な森の土はふかふかです。これは落ち葉や落ち枝などが堆積して、土壌生物の働きにより、ゆっくり分解しています。この森林の土壌は、土壌生物のおかげで大小無数の孔隙(すきま)を持つスポンジのようになっています。そのため雨が降ると、大きなすきまは水を素早く染み込ませ、小さなすきまは染み込ませ速度は遅いものの、土壌内に水を長い時間とどめる働きをします。このメカニズムによって、森林は降雨時に、大量の雨水を土壌内に貯留することができます。これが、森林のもつ「水源かん養機能」、つまり緑のダムと言われる所以です。
また、雨水が地中に浸透する過程で水を濾過(ろか)したり、化学物質を吸い取って水を浄化しています。「魚つき保安林」といって、漁業を営む地域では、海岸の森林を守る習慣があるのもそのためです。プランクトンなどの養分をたっぷり含んで流れ出た海には豊かな漁場が広がる、つまり川の源流である森を守る事が漁業を守る事につながるのです。
森林は、下草や落葉、落枝などにより地表面が覆われ土壌が保護され、また、樹木の根がしっかり張ることで、土砂崩れなどの土壌の浸食、流出を抑制しています。でも、間伐など手入れをされない人工林は木々が密集して根がしっかり張れないので、ひょろひょろと細長く弱い木に育ちます。また、地面には日光が届かず、下草が生えないため地表が雨で流されやすくなり土砂災害なども誘発するひ弱な森となってしまう可能性が高まります。
森林には、鳥類、昆虫類をはじめとする多くの野生動植物が生息・生育しています。たとえば、アマゾン熱帯雨林には地球上の生物種の10%が生息していると言われるほど。森林は生物種、生態系を保全するという機能を持っており、これは「生物多様性の保全機能」と呼ばれます。つまり、森は生態系を守る住処、ゆりかごなのです。
地球温暖化の防止には、二酸化炭素の濃度を増加させないことが重要です。そして、地球上の二酸化炭素循環の中では、森林が吸収源として大きな役割を果たしています。1年間に地球上で排出される二酸化炭素80億トンのうち、森林や農地などが吸収する量は3割を超えます。
森林を構成している樹木は、大気中の二酸化炭素を吸収して光合成を行い、炭素を幹や枝などに蓄え生長します。
例えば、適切に手入れされている80年生の スギ人工林は1ha当たり約620tの二酸化炭素を吸収しています。
もちろん、忘れていけないのが森の恵み。木材は燃料や建築材、紙を作るパルプの材料にもなります。きのこなどの食料も。そして、人には森林浴やリフレッシュ、癒しの場を与えてくれます。鎮守の森では地域のお祭りや神事なども行われます。さまざまな恵みを私たちの生活にもたらしてくれます。
森林の持つ多面的機能は年間約75兆円にのぼると推定されています。これを日本の森林1ha(100m×100m)当りに換算すると約280万円となります。
| 参考: | 林野庁「地球温暖化に向けて」、森林・林業学習館webサイト、日本学術会議答申「地球環境・人間生活にかかわる農業及び森林の多面的な機能の評価について |
